仏パスツール研究所との共同研究を拡大 乳酸菌OLL1073R-1株、NK細胞に加え、広範な免疫賦活能を示唆

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フランス・パスツール研究所と株式会社 明治は、乳酸菌Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1を用いた共同研究により、同乳酸菌が産生する独自の多糖体(EPS)が、さまざまなT 細胞において、免疫活性化物質である「インターフェロンγ」の分泌を促進することを見いだしました。

2018年1月11日

株式会社 明治

仏パスツール研究所との共同研究を拡大

乳酸菌OLL1073R-1株、NK細胞に加え、広範な免疫賦活能を示唆

~免疫の活性化に関わるホルモン様分子であるインターフェロンγの分泌をさまざまなT細胞で促進~

 フランス・パスツール研究所(本部:パリ15区、スチュワート・コール所長)と、株式会社 明治(本社:東京都中央区、代表取締役社長:川村 和夫)は、乳酸菌Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1(以下、乳酸菌OLL1073R-1株)を用いた共同研究により、同乳酸菌が産生する独自の多糖体(EPS)が、さまざまなT細胞(※1)において、免疫活性化物質である「インターフェロンγ(※2)(以下、IFN-γ)」の分泌を促進することを見いだしました。

【研究の概要】

 乳酸菌OLL1073R-1株は、これまでの研究から自然免疫に関わるナチュラルキラー細胞(NK細胞)に対し、賦活作用を持つことが確認されています。当社とパスツール研究所は、2014年1月より乳酸菌OLL1073R-1株を用い、その免疫増強作用のメカニズムや有効成分について共同研究を実施してきました。その結果、乳酸菌OLL1073R-1株の有効成分とされてきた、同乳酸菌が産生する独自の多糖体(EPS)が、免疫活性化物質であるIFN-γの分泌をCD4Tαβ細胞、CD8Tαβ細胞(※3)などさまざまなT細胞で促進することを、図の通り見いだしました。

【期待される可能性】

 今回の研究により、同株がNK細胞にとどまらず、獲得免疫に関わるT細胞にも作用していることが示され、免疫に対して広い働きを持つことが示唆されました。この幅広い作用が、これまでの研究で確認されている、風邪り患リスク低減作用(※4)、唾液中の抗菌・抗ウイルス活性を持つ物質であるIgAの分泌促進作用(※5)などの健康に関する作用に結びついている可能性が期待されます。

 当社とパスツール研究所では、今後もこの研究に取り組んでまいります。

図 腸管のCD4Tαβ細胞、CD8Tαβ細胞のIFN-γ産生に対するEPS 投与の影響

 マウスに乳酸菌OLL1073R-1株が産生したEPS または蒸留水を経口投与し、腸管のCD4Tαβ細胞、CD8Tαβ細胞におけるIFN-γ産生細胞の割合を評価しました。その結果、EPSを投与したマウスではIFN-γを作った割合が有意に高いことが示されました。

(※1)T細胞:獲得免疫において中心的な役割を果たす免疫細胞の一種です。

(※2)インターフェロンγ:インターフェロンは免疫に作用するホルモン様物質の一種です。腫瘍や病原体の排除において重要な働きをすることが知られています。

(※3)CD4Tαβ細胞、CD8Tαβ細胞:CD4Tαβ細胞は、細胞表面上に「CD4」という分子を発現しているT細胞の一種です。主なものは抗体産生や細胞性免疫を助ける機能を持ちます。CD8Tαβ細胞は、細胞表面上に「CD8」という分子を発現しているT細胞の一種です。腫瘍細胞やウイルス感染細胞を排除する働きを持つキラーT細胞も、この細胞群に属します。

(※4)乳酸菌OLL1073R-1株の風邪り患リスク低減作用:出典…Makino S, et al.: Br J Nutr. 2010; 104:998-1006

(※5)乳酸菌OLL1073R-1株の唾液中IgA分泌促進作用:出典…Yamamoto et al. Gerodontology. 2017 Aug 23. doi: 10.1111/ger.12296.

【ご参考】

 本研究は、当社がパスツール研究所に乳酸菌OLL1073R-1株、および同乳酸菌が産生するEPSを提供し、パスツール研究所のジェラール・エベール(Gérald Eberl)教授率いる「微小環境と免疫」研究ユニットが実験・解析を担当し、実施されました。

・共同研究のきっかけ

 当社とパスツール研究所は、2011年より「明治ブルガリアヨーグルトLB81」を使用し、アンチエイジング効果(健康長寿)に関する研究を実施してきました。今般、パスツール研究所の教授で免疫学部門長のジェラール・エベール博士が乳酸菌OLL1073R-1株の作用に強い関心を抱いたことから、新たに同乳酸菌を対象とした共同研究に着手しました。

・パスツール研究所とパスツール研究所国際ネットワークについて

 1887年にルイ・パスツールによって公益財団法人として設立された私立財団であり、1888年11月14日に発足したパスツール研究所は、過去130年間にわたり、世界中の33機関とネットワークを持つ国際的に有名な生物医学研究のセンター機関です。パスツール研究所は、フランスおよび世界各地の疾病の予防と撲滅の使命を追求するために、科学と医学研究、公衆衛生と健康の監視、教育、事業開発と技術移転という4つの主要分野で事業を行っています。

 パリのキャンパスでは2,500人以上が働いており、パスツール研究所は、感染症、微生物学、免疫学の世界的に認められたリーダーです。その130のユニットでは、特定のがん、遺伝性・神経変性疾患、ゲノミクス、および発生生物学に関する研究にも焦点を当てています。この研究は、新しい予防戦略と新規治療法の基礎を築くために、生体の知識を拡大することを目的としているものです。設立以来、10名のパスツール研究所の科学者がノーベル医学賞を受賞しており、これには1983年にエイズを引き起こすヒト免疫不全ウイルス(HIV)を発見し、2008年に受賞した2名が含まれます。

http://www.pasteur.fr/en

・株式会社 明治

 株式会社 明治は、日本の東京都に本社がある明治ホールディングス株式会社の食品事業を担う株式会社です。明治ホールディングス株式会社は2016年10月に創業100周年を迎えた歴史ある企業です。

 株式会社 明治は、乳児用向け粉ミルクにはじまり、牛乳・乳製品、菓子、スポーツ栄養食品、高齢者向け食品や流動食まで、多岐にわたる商品をあらゆる世代のお客さまに、さまざまな場面で提供できる強みがあります。併せて、安全・安心な商品をお客さまにお届けするため、フードチェーン全体に存在するリスクを、許容できるレベルまで合理的に低減するための手順を決定し実行しています。

 また、乳酸菌やカカオ豆の研究は最も得意とする分野で、5000種を超える乳酸菌を保有し、乳酸菌が人の腸内細菌や健康に及ぼす影響について研究開発を行い、基盤研究に基づく独自性の高い商品を開発してきました。常に一歩先を行く価値を提案し、お客さまの「健康な食生活」に貢献し続けることを理念としています。

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