感染症の権威が語る、今年の新型ノロへの警鐘と“脱水対策”の重要性

20151120

教えて!「かくれ脱水」委員会

新型ノロウイルスを発見

川崎市健康安全研究所 岡部信彦 先生からの提言

感染症の権威が語る、今年の新型ノロへの警鐘と“脱水対策”の重要性

「新型ノロウイルスを検知したことが広く伝わることによって、予防や対処への意識を喚起する効果につながると良いと思う」

【プロフィール】

岡部信彦(おかべ・のぶひこ)

川崎市健康安全研究所所長。1947年東京生まれ 東京慈恵会医科

大学卒 同大小児科助手、WHO西太平洋地域事務局(フィルピン・マニラ市)

伝染性疾患予防対策課長、同大小児科助教授、国立感染症研究所情報

センター長などを経て、2012年より現職。

<新型ノロの脅威>

ノロウイルスの遺伝子は変異しやすいのですが、新型ノロウイルスといっても新型インフルエンザのように、症状が大きく変わるということはないと思います。ノロウイルスに繰り返して感染した人は次第に抗体ができてくるのですが、この新型には感染の経験がないので免疫を持つ人がほとんどいないために、誰もが同じように感染リスクがあるといえます。感染者が多くなれば重症者も増えることになります。日本だけではなく、海外でも同様のウイルスが検知されていますから、世界的に流行する可能性もあると思います。

新型のノロウイルスが発見されたことがメディアでも報じられていますが、私たちの発見が、社会に伝わることによって、ノロウイルス感染に対する事前の注意喚起や対策がなされ、それが流行を抑える効果に、あるいは流行したとしても重症化防止につながってくれればと期待しています。流行する可能性が早めにわかれば、身構える。準備期間はあるのだから、行政や学校、会社、そして個それぞれのレベルで予防のために出来ることをやっておく、知識を得ておく、ということです。

新型ノロウイルスも、症状はいままでのものとほぼ同じと考えていいでしょう。感染してから発症するまでは1ー2日。発症すると多くの場合、激しいおう吐があり、下痢の症状が続きます。激しいおう吐は普通1日程度、長くとも2ー3日で止まります。下痢も普通1ー3日で治まりますが、回復しても1ー2週間は便中にはウイルスがいることが多いので、他の人へうつさない思いやり、注意が必要です。

<予防法と対処法>

●感染しない、させないために

感染源は食物としては牡蠣などの二枚貝に多いので、流行の時期には生で食べるのを控えるか、食べるときも熱処理をしたものにしておくほうがいいでしょう。この時期には、ことに体力の弱い高齢者や子どもには生の二枚貝は食べさせないほうがいいと思います。ただし、ノロウイルスの感染は食べ物からだけではなく、感染した人の便や吐物から他の人にうつりやすいので、その点の注意も必要です。

●基本はやはり手洗い。アルコール消毒はあまり効果がない

予防対策としては、なにより普段からの手洗いです。これから流行の予想される時期には丁寧に手を洗ってください。とくに子どもたちには、石けんを使い丁寧に手を洗う習慣を普段からつけておくことが大切です。ノロウイルスはほんの少しのウイルスで感染する強いウイルスです。トイレで用をたし、そのままだと当然手で触る服やタオルなどにもウイルスが広がります。家庭の主婦や、調理をする人などは、罹患した際はもちろん、回復したあとも手を丁寧に洗うということ忘れないでください。なおアルコール消毒はノロウイルスにはあまり効果がありません。

●発症したときに特に重要な“水分補給”

発症したら、下痢・おう吐による水分不足、すなわち脱水を防ぐために、水分を補充することが必要です。ウイルス性の感染性胃腸炎は放置しておいても自然に回復しますが、おう吐や下痢から脱水状態が進行してしまうと重症に陥ることがあります。高齢者では脱水状態が、さらに急激な筋力の低下や、体力の消耗を招きます。そのほか、おう吐物を喉につまらせての窒息や、誤嚥による肺炎などにも、注意が必要です。

●常備すべきは「経口補水液」

おう吐や下痢などによる脱水状態を進行させないためには「出たものを補う」という考えで水分補給を行います。この場合単なる水や白湯などではなく、電解質成分が含まれた水分(経口補水液など)を少しずつ数分おきに摂ること。学校とか会社など、集団生活をする場所では、ノロウイルスが流行る時期には保健室などには経口補水液を常備しておくとよいのでは、と思います。

●感染を拡大させない

他者への感染を防ぐことも大切なこと。ノロウイルスに感染して発症する人と発症しない人がいます。発症しても症状が軽い人と重くなる人もいます。自然の免疫力などによって違うのでしょうが、詳細なメカニズムはわかっていません。ただ、軽い人でも感染者はウイルスを便から排出することがあります。流行の時期に下痢をしている人は、ノロであると自覚していない間に感染源になることがあるので気をつけてください。

詳細は、教えて「かくれ脱水」委員会のウェブサイト「かくれ脱水 JOURNAL」にて公開しています。

http://www.kakuredassui.jp/column14

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