世界初!たんぱく質摂取と筋肉増加の 普遍的な相関関係をメタアナリシスで解明

2020年11月4日栄養学分野レビューの国際学術誌Nutrition Reviewsに論文掲載

meiji

 株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)および国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所(理事長:米田 悦啓)は、たんぱく質摂取と筋肉増加に普遍的な相関関係があることを世界で初めて明らかにしました。これまでたんぱく質摂取量と筋肉量における増減の相関についての研究は、筋力トレーニングなど運動と組み合わせた研究が中心でしたが、本研究では複数の研究結果を統合して分析するメタアナリシス1の手法を用いて、日々のたんぱく質摂取量と筋肉量増加との間に普遍的な正の相関関係があることを、明らかにしました。特に、1日に体重1kg当たり0.1gのたんぱく質摂取でも(平均的な成人男女で5~7g程度という少量)、筋肉量の増加に繋がることは、この論文における注目すべき知見です。

 当研究成果は2020年11月4日に、栄養学分野において評価の高い国際的なレビュー誌Nutrition Reviewsに掲載されました。

 

【論文内容】

■タイトル

Dose–response relationship between protein intake and muscle mass increase: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials

(たんぱく質摂取量と筋肉量増加との用量反応関係:無作為化対照試験のシステマティックレビューおよびメタアナリシス)

■概要

【方法】

1:PubMedや医中誌Webなどの文献データベースの調査および先行メタアナリシス研究の参照文献から、たんぱく質摂取量と筋肉量における増減の相関に関する研究を網羅的に検索しました。得られた1700文献から、メタアナリシスの国際的なルールに則って本研究の目的に合致した105文献(2週間以上のたんぱく質摂取を行った無作為化対照試験。特定の重病者を対象としたものは除く)を厳選し、詳細なデータを抽出しました。

2:得られた全データを用いて、筋力トレーニングの有無やたんぱく質の摂取量別にメタアナリシスを実施しました。総たんぱく質摂取量が明らかなデータについては、総たんぱく質摂取量と筋肉量増加について詳細な相関関係を解析し、滑らかな曲線で分かりやすくするスプラインカーブ※2で結果を表しました。

【結果】

1:105文献、5402名分の全データを用いたメタアナリシスの結果、筋力トレーニングの有無に関わらず、たんぱく質摂取は有意に筋肉量を増加させることを世界で初めて明らかにしました。

また、総たんぱく質摂取量が明確な92文献、4741名分のデータを用いて、試験食品以外の通常の食事も含めた1日あたりの総たんぱく質摂取量と筋肉量増加との詳細な用量反応関係をスプラインカーブで表し、習慣的に運動を実施しない方も含む(特定の重病者は除く)全ての人々を対象とした解析で、たんぱく質摂取量を増やすほど筋肉量が増加することを、世界で初めて明らかにしました(図1)。

 

(図1) 日々のたんぱく質摂取量と筋肉量増加の用量反応関係

 

2:1日に体重1kg当たり0.1gのたんぱく質摂取(平均的な成人男女で5~7g程度という少量)でも、筋肉量維持向上に繋がる可能性があることを提言しました。上記1のデータを用いて、平均的なたんぱく質摂取量の人(1日に体重1kg当たり1.3g未満のたんぱく質を摂取)は、平均0.39 kgの筋肉量が増加し(図2)、元々のたんぱく質摂取量が特に多い人(1日に体重1kg当たり1.3gより多いたんぱく質を摂取)は、平均0.12 kgの筋肉量が増加することを確認しています(図3)。

 

(図2・左) たんぱく質摂取量ごとの筋肉量増加の傾き(A)<1.3g/kg体重/日

(図3・右) たんぱく質摂取量ごとの筋肉量増加の傾き (B)≧1.3g/kg体重/日

 

※1:メタアナリシス

複数の研究結果を統合して分析することで、個々の研究よりも信頼性の高い分析結果が得られます。システマティックレビュー(世界中の研究を網羅的に調査し、国際的なルールに則って収集・選択・統合して分析・評価する手法)と組み合わせたものをメタアナリシスと呼ぶことも多く、本文でもその意味で使用しています。最も質の高いエビデンスであるとされています。

※2:スプラインカーブ

所定の区間ごとに算出した多項式による曲線を繋ぎ合わせ、膨大な量のデータを滑らかな曲線で分かりやすく表したモデルです。

 

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グラフ2

グラフ1

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