2018年のライフサイエンス関連のM&Aは増加の見通し~新規参入企業と新たな財源の登場に伴い競争が激化~

EY Japan

2018/1/22

EY Japan

2018年のライフサイエンス関連のM&Aは増加の見通し~新規参入企業と新たな財源の登場に伴い競争が激化~

・2018年のM&A総額は、2017年の2,000億米ドルを上回る見込み

・米国外にある1,600億米ドルのキャッシュがディール活動に貢献する見込み

・顧客中心の医療サービスプラットフォーム(customer-centric care platform)の台頭により大型合併が復活する可能性

ライフサイエンス企業によるM&Aが2018年に増加することが予測されています。これは、新規参入企業と新たな財源の登場により競争が激化していること、また米国の税法が改正され、企業が米国外に保有する資金を米国に還流させる際の税率が引き下げられることが影響するためです。EY の『2017 M&A Firepower Report: Life sciences deals and data』(以下、本レポート)では、こうした予測を提示しています。本レポートはライフサイエンスの3つのサブセクター(バイオ医薬品業界、バイオテクノロジー、医療機器)に対する洞察と分析を提供しています。

今回で6年目を迎える EY のFirepower Index (Firepower指標)は、世界のライフサイエンス企業を追跡し、各企業の包括的なFirepower(財務体質の強さを基にしたM&Aの実行能力)を調査しています。M&Aを実行するために求められるFirepowerは、企業の株式時価総額、現金および現金同等物の金額、借入能力によって決まります。

本レポートは、2018年に世界のライフサイエンス業界で実施される見込みのM&Aの総額が、2017年の2,000億米ドルを超えると予測しています。これは、ライフサイエンス企業がインオーガニック成長を目指してM&Aを含む資本配分戦略に引き続き注力しているためです。実際、EYの最新のGlobal Capital Confidence Barometer (CCB): Life Sciences(以下、CCB:ライフサイエンス)によると、ライフサイエンス企業のリーダーの 60%が、今年M&Aを積極的に進める予定であると述べています。また、米国のライフサイエンス業界の上位10社は米国外に約1,600億米ドルの資金を保有していますが、こうした資金がM&A活動をますます活性化させると予測しています。

EY Global のトランザクション・アドバイザリー・サービスのライフサイエンス セクター・リーダー、Jeff Greeneは次のように述べています。

「ライフサイエンス企業は、自社のFirepowerを用いて競争優位性を築こうとしている。これは彼らの現状のビジネスモデルが、テクノロジーや他業界からの参入企業に脅かされているからである。利益を確保し、主要な治療分野における競争力を守り、サプライチェーンの新たな難題に立ち向かうための規模を獲得するため、バイオ医薬品企業および医療テクノロジー企業のリーダー達は、2018年に大型合併を含めたより革新的なM&Aの実施を模索するだろう。そのための投資資金として、現在米国外に保有しているキャッシュが使われる可能性がある。」  

大型合併の復活

本レポートは、顧客中心の医療サービスプラットフォーム(customer-centric care platforms)の台頭によって、異業種間の大型合併が活性化する可能性があると述べています。また、グローバル医薬品市場は1兆ドル規模でありながら、上位5社のマーケットシェアが各社とも最大5%程度に留まるという、非常に細分化されたバイオ医薬品業界における大型企業統合も加速する可能性があるとしています。

EY Globalのライフサイエンス セクター・リーダーPamela Spenceは、以下のように述べています。

「ライフサイエンス業界の企業は、競争力をつけるために、患者により多くの付加価値を提供しなくてはならない。例えば、自分たちの製品を、医薬品や医療機器という枠を超えて差別化できるようにするサービスを提供することが必要だ。患者、医療提供者、医療費支払機関によって生成された行動、心理、社会、経済に関するデータをスムーズにやり取りして、より効果的なパーソナライズされた治療法の構築と顧客のより良い健康上の成果につなげていくべきである。」

本レポートでのその他主要な調査結果は以下の通りです。

・従来の治療分野における競争の激化が企業統合を促進:米国における革新的医薬品およびジェネリック医薬品の承認スピードの加速により、がん治療などの主要治療分野におけるライフサイエンス企業の統合が見込まれる。イノベーションの継続、新しいバイオ後続品の市場投入による競争激化に伴い、現在のリーダー企業のマーケットシェア低下が予測される。

・新興勢力のFirepower: 豊富な資金力を有する他業界からの参入企業によるライフサイエンス業界への投資が増加した結果、異業種間のM&A活動が活発化。EYの「CCB:ライフサイエンス」のレポートでは、ライフサイエンス業界のリーダー企業はこうしたトレンドを認識しており、業界外の企業による競争の激化を、ライフサイエンス業界に対する最大の脅威として挙げているとする。

中国によるライフサイエンス業界への投資が増加。投資額の大部分は中国国外に流出。大手のスペシャリティファーマ(特定分野の医薬品に特化する企業)は、アジア太平洋地域の戦略的投資家(ジェネリック製薬会社、プライベート・エクィティー企業を含む)の投資対象となっているアセットの売却を実施。また、テクノロジー企業もライフサイエンス業界に対する投資を増大し、2018年により多くのM&A取引を完了させることが可能なFirepowerを有する。実際、テクノロジーセクターのわずか7社が、50社以上のライフサイエンス企業を買収した。

 

・バイオテック企業は独立性を維持:買収価値の上昇、公募あるいは私募からの十分な資金調達により、バイオテック企業は製品の研究開発をさらに推し進める機会により多く恵まれ、長期にわたって独立性を維持することができ、売上を追及する必要性が低下している。ベンチャー投資家(従来的なベンチャーキャピタリストだけでなく、クロスオーバー投資家、戦略的投資家を含む)は、引き続きバイオテックへの投資に関心を示しており、いくつかのケースでは潤沢な資金を投資したスタートアップ企業が、いわゆる「ユニコーン企業(評価額10億米ドル以上の未上場企業)」に成長している。

本レポートの詳細は以下よりご覧ください。

http://www.ey.com/gl/en/industries/life-sciences/ey-vital-signs-2018-ma-firepower-report-life-sciences-deals-and-data

                                                            以上

※本プレスリリースは、2018年1月8日(現地時間)にEYが発表したプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

〈EYについて〉

EYは、アシュアランス、税務、トランザクションおよびアドバイザリーなどの分野における世界的なリーダーです。私たちの深い洞察と高品質なサービスは、世界中の資本市場や経済活動に信頼をもたらします。私たちはさまざまなステークホルダーの期待に応えるチームを率いるリーダーを生み出していきます。そうすることで、構成員、クライアント、そして地域社会のために、より良い社会の構築に貢献します。

EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバル・ネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。詳しくは、ey.com をご覧ください。

本ニュースリリースは、EYのグローバル組織のメンバーファームであるアーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッド(EYGM)によって発行されています。EYGMは顧客サービスを提供していません。

〈EY Firepower指数について〉

EY Firepower指数は、企業がトランザクションを実行するための資金調達能力を、貸借対照表の健全性に基づいて測定します。Firepower指数が考慮する4つの主要データは、1)現金および現金同等物、2)既存債務、3)債務負担能力(貸付限度額を含む)、4)時価総額です。Firepowerモデルの前提として1)買収企業の現在の時価総額の50%を上回る企業は買収のターゲットとしない、2)結合後の企業の負債資本率は30%を超えないという2点が設定されています。

一部の医薬品企業ではこの上限を超えた買収も行なわれていますが、Firepower指数は一つの水準に基づいた手法を適用して、数値の相対的な変動を測定することを目的としています。また、Firepower指数は現金もしくは借入を資金源としたM&Aの実行能力を測定するためのものであり、株式交換による取引能力の測定は行いません。ただし、Firepower指数の公式上、株価の上昇は数値の上昇につながります。これは株式価値の上昇によって資金調達の際の借入能力が高まるためです。

本報告書では、医薬品企業を企業規模、地理的範囲、製品ラインアップに基づいて、大手製薬会社(ビッグファーマ)、スペシャルティファーマ/ジェネリック医薬品企業および大手バイオテクノロジー企業(ビッグバイオテック)に分類しています。

〈EYのグローバル・ライフサイエンス・セクターが提供するサービスについて〉

人口の高齢化や慢性疾患がますます身近になるにつれ、GDPに占めるヘルスケアの割合はさらに増えていくでしょう。科学の進歩、AI(拡張知能)、患者の持つ力が医療提供にますます変化をもたらし、健康上の成果が重要な測定基準だとする、パーソナライズされた経験へと変わりつつあります。これは、従来のステークホルダーの間にパワーシフトを引き起こし、新規参入者(利益追求だけを目的としていない場合が多い)が、多くの業界の既存企業に混乱をもたらしています。 イノベーション、生産性、患者へのアクセスは依然として業界最大の課題となっています。こうしたトレンドは、R&Dや製品供給から、製品発売や患者中心のビジネスモデルに至る、ライフサイエンスのバリューチェーンのあらゆる段階で、資本戦略に大きな影響を与えています。

私たちのグローバル・ライフサイエンス・セクターは、セクターに特化した15,000人のプロフェッショナルによる世界規模のネットワークを結集し、トレンド予測や影響の特定、クライアントの競争力創造をサポートしています。私たちは、健康上の成果をベースにした新しい生態系の中で、皆さまがビジネスを舵取りし、持続的成功を達成するようサポートいたします。

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