マンチェスター大学より網膜変性疾患の遺伝子治療技術に関する独占契約を取得

窪田製薬HD

2016年4月5日

アキュセラ・インク(Acucela Inc.)

(コード番号 4589 東証マザーズ)

マンチェスター大学より網膜変性疾患の遺伝子治療技術に関する独占契約を取得

オプトジェネティクスによる網膜色素変性症の治療(視機能回復)を目指す

 失明や視力低下をまねく眼疾患に対する治療、または疾患の進行を遅らせる革新的な治療薬・医療技術の探索および開発に取り組むアキュセラ・インク(本社:米国シアトル、会長、社長兼最高経営責任者:窪田良、以下「当社」)は、2016年4月5日、英国マンチェスター大学(以下「マンチェスター大学」)と、網膜色素変性症を含む網膜変性疾患の治療に向けた、同大学のヒトロドプシンによるオプトジェネティクス治療(光遺伝学治療)*1の開発ならびに販売を目的とする独占契約を締結したことを下記のとおりお知らせいたします。

                    記

■独占契約の概要

 この度の独占契約は、マンチェスター大学のヒトロドプシンによるオプトジェネティクス治療の開発ならびに販売を目的としています。

 網膜色素変性症は、一つまたは複数の遺伝子変異が、光を捕らえ視覚認知につなげる働きを持つ視細胞(光受容細胞)において、緩やかに進行して変性を引き起こす遺伝性の網膜疾患です。網膜色素変性症の多くは、最初に明暗を認識する桿体(かんたい)細胞が損傷され、周辺視野および夜間視力が障害されます。その後に、色を認識する錐体(すいたい)細胞が損傷され、色覚異常や中心視力の低下をきたし、最終的には失明に至ります。網膜色素変性症は、幼少期に発症する例も多く見られます。米国、欧州およびアジアでは約4,000人に1人が罹患する希少疾患であり、世界で140万人が患っていると推定されています*2。日本においては、厚生労働省が難病に指定しています。現在のところ網膜色素変性症に対する有効な治療法はありません。

 マンチェスター大学のヤスミナ・セハジック-カペタノビック博士(Dr. Jasmina Cehajic-Kapetanovic)、ロバート・ルーカス教授(Professor Robert Lucas)およびポール・ビショップ教授(Professor Paul Bishop)らは、オプトジェネティクス(光遺伝学)に基づく遺伝子変異非依存性の治療技術の研究を手がけました。網膜のオン型双極細胞*3にヒトロドプシン(桿体細胞の視物質で光を受容するタンパク質)を形質導入するためにウイルスベクター*4を利用するこの技術は、細胞特異的なプロモータ*5の制御下において、視覚反応の回復に有効であることが網膜変性をもつマウスモデルで実証されています。さらに、ヒトロドプシンを用いることにより、他のタンパク質を用いる場合と比較して、光に対してより高い感度を獲得できることが期待されるとともに、ヒト型タンパク質であるため、免疫により誘発され得る炎症反応が起きる可能性を最小限に抑えることができると考えられます。このオプトジェネティクス技術に基づく研究は様々な遺伝子変異から起きる網膜色素変性症やそれに関連する症状に対して行われる予定で、網膜色素変性症全般に対する遺伝子変異非依存性の治療法として有用となる可能性があります。

 当社はこの技術により、最終的には法定盲(矯正視力0.1未満)とみなされている患者様の視機能を少しでも回復できるよう、研究開発を進めていく予定です。

この度の独占契約において、眼科医であり、当社会長、社長兼最高経営責任者の窪田良博士は、「視力を失われた患者の皆様が、ご自身の目で少しでも光を感じられるよう、視機能を回復することに希望を見出していただくための新たな研究開発に着手できることは、眼科医としてこの上ない喜びです。この度のマンチェスター大学との共同研究を機に、オプトジェネティクスに基づく遺伝子治療の研究を進め、失明をきたす眼疾患の撲滅を目指し全力を挙げて開発に邁進したいと考えています。」と述べています。

 マンチェスター大学眼科教授で英国Royal College of Ophthalmologistsのフェローであるポール・ビショップ博士(Dr. Paul Bishop)は、「網膜色素変性症のマウスモデルにおいて劇的な視機能回復が見られました。これにより、重度の遺伝性網膜変性患者様が視機能回復を目指せるよう、アキュセラ社との研究開発を行えることを喜ばしく思っています。」と述べています。

 この度の契約は、マンチェスター大学の技術移転機関であるUMIP(University of Manchester Intellectual Property)との間で交渉が行われました。UMIPの事業本部長であるリッチ・フェリー博士(Dr. Rich Ferrie)は、「ルーカス、ビショップ両教授の独創的な科学技術に基づく網膜色素変性症に対する遺伝子治療を開発するための、理想的なパートナーであるアキュセラ社とライセンスを締結できたことを喜んでいます。この独占契約締結は、網膜色素変性症患者様には真の希望となりうる重要な始まりを意味するものです。」と述べています。

 本件に関わる費用は、2016年3月9日に開示された決算短信の2016年12月期業績予想の詳細に記載している「事業ポートフォリオを拡大するためのインライセンスなどを含む事業開発費約 15 百万米ドル」に含まれております。従って、2016年3月9日に開示された2016年12月期の業績予想には織り込み済みであり、業績予想に与える影響はございません。

*1: オプトジェネティクス治療:オプトジェネティクス(光遺伝学)に基づき光感受性がない細胞に、光によって活性化されるタンパク質を発現させることにより、光感受性を持たせる治療法。

*2: Vaidya P, Vaidya A (2015) Retinitis Pigmentosa: Disease Encumbrance in the Eurozone. Int J Ophthalmol Clin Res 2:030

*3: オン型双極細胞:双極細胞は視細胞(桿体細胞と錐体細胞)と神経節細胞を接合している網膜ニューロン。桿体細胞はオン型のみで錐体細胞はオン型とオフ型がある。

*4: ウイルスベクター:治療する細胞に治療遺伝子を導入するために利用されるウイルス。

*5: プロモータ:特定の環境内で治療遺伝子の発現を制御する遺伝子調節塩基配列。

                                    以上

アキュセラ・インク(Acucela Inc.)について

 アキュセラは、臨床開発段階の眼科医療ソリューション・カンパニーです。失明や視力低下をまねく眼疾患に対する治療、または疾患の進行を遅らせる革新的な治療薬・医療技術の探索および開発に取り組んでいます。当社独自の視覚サイクルモジュレーション技術に基づく地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性の治療薬候補「エミクススタト塩酸塩」の共同開発を大塚製薬株式会社と進めています。また、「ラノステロール技術」を用いて、白内障および老視(老眼)に対する根治的かつ非侵襲的な薬物療法の確立を目指しております。

(ウェブサイト:http://www.acucela.jp

The University of Manchester Intellectual Property (UMIP)について

 UMIP(University of Manchester Intellectual Property)は英国マンチェスター大学の技術移転機関であり、UMI3社(The University of Manchester I3 Ltd)の1部門です。UMI3社は、知的財産商業化において25年の歴史を持つマンチェスター大学の完全子会社です。

 UMIPの役割は、起業家、投資家および企業ベンチャーパートナー等を大学のキャンパスおよびイノベーションセンター(Innovation Centre、ウェブサイト:http://www.umic.co.uk)に招き、大学内の教員および研究者との交流を促進し、ライセンス提携等を通じ、マンチェスター大学の画期的な発明およびソフトウェアを商業化することです。

 2004年10月のUMIP発足以来、知的財産事業は、スピンアウト企業における持分、ライセンス収益ならびに知的所有権付与および契約活動等を通じ総額9,000万英国ポンド以上の売上を大学に還元しています。

(ウェブサイト: http://www.umip.com

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