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2015年6月9日

介護予防分野として日本初、SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)調査事業が経産省委託事業として採択

2015年6月4日

公文教育研究会

介護予防分野として日本初、SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)調査事業が経産省委託事業として採択

株式会社 公文教育研究会(代表取締役社長 角田秋生〔つのだ あきお〕)は、経済産業省が行う、平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業(ヘルスケアビジネス創出支援等)に、SIB(ソーシャル インパクト ボンド)の導入を前提とした実証調査事業で応募し、この度採択されました。
介護予防分野としてSIB調査事業を行うことは、日本で初めての事例となります。

◆SIBとは? 
2010年にイギリスで開発され、アメリカ・オーストラリアでも導入されている新しい官民連携の社会的投資モデルです。優れたサービスに、投資家が資金を提供してプログラムを実施し、削減された財政支出など、事業成果に応じて、自治体等が投資家へ成果報酬を支払う仕組みです。

◆SIB構築のための調査を、「学習療法」で実証実験します
今回採択された調査事業では、SIBの導入を前提に認知症高齢者の脳機能の維持・改善に効果があることが科学的に実証されている「学習療法」と、学習療法を応用して開発した認知症予防のための「脳の健康教室」の2つのプログラムを実施します。本年7月から5カ月間実証事業を行い、以下の調査を実施予定です。

①「学習療法」によって認知症高齢者の介護度を良化(例…要介護度4→3等)するこ
   とで、公的介護費用等の削減に貢献可能か。
②健康な高齢者を軽度認知障害(MCI)、要介護認定へと進ませないために、「脳の健康
   教室」が認知症予防サービスとして公的コスト削減に貢献可能か。
③「学習療法」実施により、認知症高齢者の家族及び介護施設職員、施設運営者等にど
   のような社会的便益が発生し得るか。社会的投資収益率(SROI)法を活用して調査。

上記実証結果をもとに、自治体等にヒアリングを行い、2016年度以降のSIB組成に向けたガイドラインを作成します。また、SIBに自治体・投資家・サービス事業者が参入するための課題抽出を行います。

◆SIB調査事業の実施体制について
今回のSIB調査事業は、株式会社公文教育研究会の事業部門の「学習療法センター」が、日本財団、福岡地域戦略推進協議会(FDC)とともに実施します。また、「学習療法」を導入している45の高齢者介護施設と、16か所の「脳の健康教室」が調査に協力します。

SIB調査全体の設計は、慶應義塾SFC研究所に委託し、日本におけるSIB研究の第一人者である、同大学大学院 政策・メディア研究科 伊藤健特任助教、認知症の経済的影響に関する研究を行っている慶應義塾大学(医学部/ストレス研究センター)・佐渡充洋助教にも、調査協力をしていただきます。
今年度は、民間による新たなヘルスケアビジネスをSIBのスキームを使って導入すると、どの程度の公的コスト削減につながるかを、主に次の調査方法を通じて明らかにしていきます。

◎Aグループ:高齢者施設に入居している認知症高齢者を、約30人の学習群と、約30人の対照群とに分けて、「学習療法」によって学習群の介護度がどのように良化し、公的コスト削減につなげられるか、慶應義塾大学(医学部/ストレス研究センター)・佐渡充洋助教が評価。
◎Bグループ:調査に協力する高齢者施設・脳の健康教室関係者などを対象に、「学習療法」、「脳の健康教室」のサービス利用者、施設職員、利用者の家族、地域などの便益を、社会的投資収益率(SROI)を活用して、 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 伊藤健特任助教が貨幣価値換算し評価。

【SIB本格導入(2016年度以降)の際の想定スキーム図】※添付文書をご参照ください。
参加する高齢者介護施設の所在地:福岡、熊本、大分、東京、神奈川、千葉、埼玉の各都県。
参加する「脳の健康教室」所在地:福岡、熊本、大分、長野、奈良の各県。

◆今後の予定
2016年2月に、調査によって得られた成果を、次の形でまとめ、経済産業省に報告する予定。
 ◎SIB組成ガイドライン(プロトタイプ)作成
 ◎自治体導入の課題抽出、対応策の一覧化
 ◎民間企業・投資家参加のための課題抽出、対応策の一覧化
そして、今年度の調査で得られた結果を元に、日本財団、慶應義塾大学、福岡地域戦略推進協議会を中心に、2016年度は、自治体での小規模導入の実現とSIB組成ガイドラインの完成を行い、2017年度からのSIB事業本格導入を目指す予定です。

<参考情報>
1.SIBとは
https://www.fasid.or.jp/_files/activities/BBL207_Part1_PPT_SIB_140704.pdf
(参考資料:慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 伊藤健 特任助教)
2.「学習療法」
2001年から行った、東北大学・川島隆太教授、福岡県の社会福祉法人・道海永寿会、KUMONによる共同研究で、認知症高齢者の脳機能の維持・改善に効果があることが科学的に実証された非薬物療法。2015年5月現在、約1,600の高齢者施設で導入されています。また、2014年から、アメリカでの展開を開始。2015年5月現在、アメリカの17施設で約200名の認知症高齢者が学習療法を行っています。
3.「脳の健康教室」
学習療法を応用して開発した認知症予防サービスプログラム。2014年度42都道府県 232市区町村約450教室で開講。主に自治体、NPO法人などが主催者となり、実際の教室運営は、地域のボランティアなどが担っている。
4.学習療法センター(代表:大竹洋司〔おおたけ ひろし〕)
2004年7月設立。公文教育研究会の事業部門の1つとして、「学習療法」と「脳の健康教室」の2つの事業を展開している。
※学習療法関連資料(学習療法センターHP)http://www.kumon-lt.co.jp/