電通PRの企業広報戦略研究所と東京大学総合防災情報研究センターが企業の「危機管理力」を大規模調査

電通PR内の企業広報戦略研究所は、東大大学院情報学環総合防災情報研究センターと、2月4日から3月13日の期間、企業の「危機管理力」調査を実施。調査は、東京証券取引所一部上場企業1,825社と日本に拠点を置く外資系企業1,170社に加え、報道機関を対象に行い、企業からは392社、報道機関からは177人の回答を得ました。

2015年6月2日

東京大学大学院情報学環 総合防災情報研究センター(CIDIR)

企業広報戦略研究所(C.S.I.)

(株式会社 電通パブリックリレーションズ内)

電通PRの企業広報戦略研究所と東京大学総合防災情報研究センターが企業の「危機管理力」を大規模調査

 株式会社 電通パブリックリレーションズ(代表取締役社長執行役員:近見竹彦、本社:東京都中央区、以下電通PR)内の企業広報戦略研究所(所長:三浦健太郎、所在地:東京都中央区、以下C.S.I.)は、東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター(CIDIR:センター長 田中淳、以下CIDIR)と、2月4日から3月13日の期間、企業の「危機管理力」調査を実施しました。

近年、危機管理の不備が、企業経営に重大な影響を与えることへの認識が高まっています。情報環境の急激な変化にともない、危機管理の重要性がより高まってきていることが背景にあります。

調査は、東京証券取引所一部上場企業1,825社と日本に拠点を置く外資系企業1,170社に加え、報道機関を対象に行い、企業からは392社、報道機関からは177人の回答を得ました。

結果からは、ソーシャルメディア上の評判を把握する仕組みを導入している企業は2割に満たず、海外拠点での「危機」発生時の対応マニュアルも約3割の企業しか整備していないことが分かりました。ソーシャルメディアやグローバルという近年、対策の必要性が高まっている領域が未着手であることが浮き彫りとなった形です。危機管理体制の推進を最も阻害しているのは「人員不足」であることも分かりました。

また、6月から2人以上の選任が求められている社外取締役に関しても、危機管理分野での活用が進んでいないなど、「社外」への意識が低いことも明らかになりました。

回答企業の約34%がこれまでに「事故・火災」を経験。企業に起きうる「危機」28項目のうち、「毒物・食中毒等による顧客の健康被害」が最も社会からの批判が強いと認識されていることも分かりました。

今回、「予見力」「リーダーシップ力」など独自に設定した5つの視点で企業の「危機管理力」を数値化した「危機管理力スコア」も集計しています。今回の調査は、企業の危機管理に関わる具体的な取り組みに着目した大規模なもので、可視化しにくい分野を数値化した意義は大きいと考えています。

主な調査内容と結果は以下の通りです

▽ ソーシャルメディア・グローバル領域に課題

 企業の危機管理に関する取り組みで、「自社にとって『危機』となりうる、ソーシャルメディア上の評判、風評を把握する仕組みを導入している」と回答した企業は19.9%、「ソーシャルメディア用の運用ガイドラインが整備されている」は33.4%と、Webリスクに関する対策に着手している企業が少ないことが分かりました。

 また、グローバル領域に関しても「海外で発生している『危機』についての情報収集を行い、日本国内の事業活動に与える影響を予測している」が33.2%、「海外拠点で『危機』が発生した場合の対応マニュアル・ガイドラインが整備されている」が20.7%と低い結果となりました。

Twitterなどソーシャルメディア上の書き込みが問題となるケースの増加や、企業の海外進出の進展で、ソーシャルメディアとグローバル対応という新たな領域への危機管理対策が進んでいない現状が浮き彫りとなった形です。

▽ 「社内」体制整備は進む一方で「社外」の視点は低い

 「危機の発生(災害含む)による損害に備えた保険に加入している」が75.0%、「緊急事態に対応するための全社的な体制・プロセスがマニュアル・ガイドライン化されている」が70.9%と、いずれも7割を超える企業が社内の体制整備を進めていることがうかがえます。

一方、「社外取締役等に危機管理について報告・提言している」は25.3%、「取引先と連携した、危機管理体制の構築活動を行っている」が24.7%と「社外」を巻き込んだ危機管理の取り組みに関しては意識が低い結果となりました。「事前に予測されている『危機』が発生した場合にステークホルダーにどのように対応するか(意思決定)が、概ね事前に定められている」が29.6%、「緊急事態発生時に自社サイト・SNS等を通じた情報提供を迅速に行う仕組みが構築されている」が38.0%と、危機が発生した場合に社会へどのように発信するのかも課題になっています。

▽ 危機管理の推進を最も阻害しているのは「人員不足」

 危機事象に対処する「危機管理」を推進する阻害要因(複数回答可)となっているものに「人員不足」を挙げた企業は50.3%に上り、「特にない」(31.4%)、「企業の業績につながらない」(24.0%)が続きました。

▽ 約34%がこれまでに「事故・火災」を経験

 国内、海外、グループ会社を含めてこれまでに直面した「危機」について聞いたところ(複数回答可)、全体の33.7%が「事故・火災の発生」と回答しました。次いで、「欠陥商品の回収(リコール)」(25.0%)、「国内での大規模火災発生時の事業停止/顧客への危機発生」(24.5%)の順でした。

▽「社会からの批判が強い」のは「毒物・食中毒等による顧客の健康被害」

 企業にとって「危機」となりうる28項目に関し、「社会からの批判が強い」と考えるかどうか聞いたところ、「社会からの批判が極めて強い」との回答が最も多かったのは「毒物・食中毒等による顧客の健康被害」(37.9%)でした。2位以下は「反社会勢力との癒着」(34.6%)、「不適切な決算・財務報告」(30.1%)の順でした。

調査詳細情報: www.slideshare.net/Dentsu_Public_Relations/ss-48318106

【 調査内容 】

(企業)東京証券取引所一部上場企業(1,825社)と日本に拠点を置く外資系企業(1,170社)を対象に、各企業における危機に関する経験や認識、危機管理のための具体的な取り組み、危機管理の阻害要因、危機管理に対する問題意識を聞きました。郵送配布回収(一部インターネットによる回収)。有効回答数は392社。

(メディア)メディア関係者全般(WEBメディア、新聞、テレビ、雑誌等)1,638人を対象に、企業の緊急時の情報開示姿勢への期待、緊急時に会見を行う判断基準、危機事象への関心度、危機管理・災害対応に関する実例などを聞きました。インターネット調査(一部訪問留置・郵送配布回収)。 有効回答数は177人。

実施時期 2015年2月4日(水)~3月13日(金)

【 調査主体 】

◆ 東京大学大学院情報学環 総合防災情報研究センター(CIDIR)

東京大学大学院情報学環、地震研究所、生産技術研究所3部局の連携により、2008年4月1日に設立。「情報」を核に「減災」をめざす取り組みを行っている。

◆ 企業広報戦略研究所(C.S.I.)

企業経営や広報の専門家(大学教授・研究者など)と連携して、企業の広報戦略・体制等について調査・分析・研究を行う電通パブリックリレーションズ内の研究組織です。

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