緑茶

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2014年8月4日

緑茶の健康成分「緑茶カテキン」などが持つ可能性に注目

2014年8月4日

トレンド総研

今、国内外であらためて見直されている「緑茶」
緑茶の健康成分「緑茶カテキン」などが持つ可能性に注目
認知機能の改善、がんのリスク低減…緑茶に関する研究報告を紹介

生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)では、このたび、健康効果があらためて見直されている「緑茶」に注目し、レポートいたします。

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「無形文化遺産」に、「和食:日本人の伝統的な食文化」が登録されたことをきっかけに、現在、日本の伝統的な食文化があらためて見直されています。

中でも注目したいのが、和食に欠かせない飲み物であり、古くから健康にもよいと言われる「緑茶」です。現在、小学校給食への緑茶の導入を新たに検討する地域が登場するなど、大きな関心が寄せられているほか、海外でも人気が急速に高まっています。

実際に、緑茶には人間の健康に役立つさまざまな機能性成分が含まれており、多様な効果・効能があることがわかっています。例えばその代表格である緑茶カテキン(ポリフェノールの一種であり、お茶の渋みの主成分)については、抗酸化作用、抗菌作用、抗インフルエンザ作用などさまざまな健康効果が報告されています。またその他にも、ここ数年でさまざまな新しい研究結果が発表されており、緑茶の健康効果にあらためて関心が集まっています。

こうした背景をもとに、トレンド総研では今回、「緑茶の健康効果」に注目。特に、「認知機能の改善」と「がんのリスク低減」にフォーカスし、最新の研究内容についてレポートいたします。


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1.認知機能の改善
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まず注目したいのが、「認知機能の改善」の可能性に関する研究結果です。

日本人の4人に1人が65歳以上になった現在の超高齢化社会において、認知症高齢者の増加は深刻な社会問題となっています。認知症とは、加齢に伴う生理的な認知機能の変化ではなく、病的な認知機能の低下により、日常生活・社会生活を営むことが困難になった状態を指します。

日本人の認知症の原因となる疾患は、大きく、神経変性疾患、脳血管性認知症、その他に分類されます。神経変性疾患の代表はアルツハイマー病で、認知症の原因疾患で1番多く、2番目に多いのが脳血管性認知症です。この2つが認知症の原因の大半を占めます。

もともと、緑茶カテキンやテアニンなどの緑茶成分が神経の保護作用をもつことはいくつもの基礎研究で示されていましたが、2013年の「第54回 日本神経学会学術大会」にて発表された、伊藤園中央研究所・静岡県立大学薬学部 山田浩教授・社会福祉法人 白十字ホームの共同研究によると、ヒトを対象とした臨床試験においても、緑茶抹の摂取により「認知機能」低下の改善が確認されています。

◆緑茶抹の摂取による高齢者の認知機能低下の改善の可能性
【研究結果:緑茶抹摂取前後での認知機能の変化】
同研究は、認知機能が低下気味の高齢者を対象としたものです。本人および家族から文書同意を得られたホーム入居中の方で、認知機能検査(*)の点数が27点以下の高齢者(平均年齢 88歳、男性2名、女性10名)が、緑茶抹を1日2g(総カテキン量 約227mg)、3か月間摂取したところ、12名中8名に改善が見られるという結果になりました。さらに検査のうち、近時記憶(数分から数時間、数日など新しい記憶)を評価する項目で、特に顕著な改善が見られています。

*認知症の診断のための検査(ミニメンタルステート検査)。世界標準として用いられ、30点満点で、23点以下であると認知症が疑われ、24~27点では軽度認知機能障害の可能性がある。

【専門家コメント:静岡県立大学薬学部 山田浩教授】
近年、緑茶の「抗認知症効果」に関する研究が進んでおり、緑茶カテキンをはじめとする緑茶成分に神経保護作用があることがいくつかの基礎研究で示されています。例えば、緑茶をよく飲む人ほど認知機能の低下が少ないという疫学調査の結果(※1)や、認知機能が正常な人が緑茶を毎日1杯以上飲むと、緑茶を全く飲まない人に比べて認知機能の低下リスクが約3分の1に減少するという研究結果(※2)が報告されています。
また、前述の静岡県立大学薬学部、社会福祉法人 白十字ホーム、伊藤園中央研究所の共同研究においては、3か月間にわたる緑茶の飲用によって認知機能の改善が確認されています。今回の研究で使用された緑茶の1日の摂取量は、高齢者でも日常的に摂取できる程度の量であり、しかも認知症の重症度にかかわらず改善傾向が見られました。
さらに、近時記憶(数分から数時間、数日など新しい記憶)についての評価項目では特に顕著な改善が見られました。近時記憶の低下が認知症の初期症状であることを考慮すると、緑茶の摂取によって認知症の進行が抑制されることが予想されます。
この他にも、国内では東北大学と金沢大学の疫学調査から、緑茶を習慣的に飲用することによって認知機能の低下リスクが抑えられる可能性も報告されています。
こうした研究結果を踏まえると、短期間に緑茶を大量に飲んで一気に緑茶カテキンを摂るのではなく、毎日こまめに緑茶を飲んで、より効率よく緑茶カテキンを摂ることによって、認知機能の改善効果が得られる可能性があることが期待されます。
※1:Kuriyama Sら、Am.J.Clin.Nutr.,2006;83:355-61
※2:Yamada Mら、PLOS ONE,2014;9:e96013

▽山田浩(やまだ ひろし)医学博士
静岡県立大学 薬学部教授/静岡県立総合病院 神経内科 医師
1981年自治医科大学医学部卒業.静岡県の公立病院、診療所で地域医療に従事。1994年同大学大学院博士課程修了。その後、同大学神経内科学講座助手、スウェーデン・カロリンスカ研究所に2年間留学。1997年聖隷浜松病院総合診療内科医長、翌年部長・治験事務局長。2001年浜松医科大学附属病院治験管理センター助教授。2005年4月より現職。現在の主な研究内容は、緑茶の機能性に関する臨床研究。著書に、『日本臨床薬理学会認定CRC試験対策講座』(2009)など。


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2. がんのリスク低減
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また、緑茶の飲用とがんとの関連についても、多くの研究結果が報告されています。
がんは、何らかの原因で細胞の遺伝子に変異が生じ、異常に細胞が増殖するようになった状態です。緑茶の調査・研究に関して伊藤園中央研究所長の提坂裕子氏は、「緑茶カテキンには、紫外線や化学物質による遺伝子の変異を抑え、細胞の異常な増殖を抑制する作用があり、さまざまな研究において、発がんやがん細胞の増殖および転移を抑えることが報告されています」と語っており、緑茶飲用によるがんのリスク低減の可能性に期待が高まっています。

◆女性の胃がんリスクの低減 
【研究結果:緑茶飲用と部位別の胃がんリスク(女性)】
国立がん研究センター がん予防・検診研究センターは、多目的コホート研究(JPHC研究)において緑茶と胃がんとの関連を検討した結果、女性で緑茶を1日当たり5杯以上飲む人は、胃がんのリスクが3割ほど抑えられたことを報告しています(※3)。特に胃の下のほうのがんのリスクは5杯以上で半分となっています。
この研究結果は、食生活において緑茶を多く飲むように心がけることで、胃がん予防の一助になる可能性があることを示しています。
※3:Cancer Causes Control 2004年 15巻 483-491 ページ

◆大腸ポリープの再発抑制 
【研究結果:緑茶カテキンの大腸ポリープ再発予防効果】
大腸ポリープはある程度の大きさになると、がんを含む可能性が高くなりますが、緑茶カテキンを含む緑茶エキスの錠剤を摂取することにより、大腸ポリープの再発が抑えられる可能性があることが明らかになっています。これは、2008年に岐阜大学医学部の森脇久隆教授(当時)らが日本がん学会で発表したもので、同試験においては、大腸ポリープを内視鏡で切除した125人のうち60人に緑茶カテキンを含む緑茶エキスの錠剤3錠(計1.5グラム、6杯分)を毎日飲んでもらい、飲まない65人とのポリープ再発率を比べています。その結果、大腸ポリープの再発率は、緑茶錠剤を飲まなかった人では31%だったのに対し、錠剤を飲み続けた人たちでは15%と明らかに低い数値に。また、再発したポリープのサイズも、錠剤を飲んだ人は、より小さい傾向がありました。さらに、緑茶錠剤を飲んでも、1日に緑茶を飲む量が3杯以下と少ない人の再発率は60%と高く、毎日飲む緑茶の量が多いほど、ポリープの再発が抑制されることも 確認されました。

以上の研究結果および専門家のコメントからは、緑茶を継続的に飲用し、緑茶カテキンを摂ることで、さまざまな健康効果が期待できることがわかります。普段の食事の中で、継続的に緑茶を飲用する日本文化に、あらためて注目してはいかがでしょうか。