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2014年5月30日

「アデランス サイエンス シンポジウム」を共催

平成26年5月30日

株式会社アデランス

第8回世界毛髪研究学会「World Congress for Hair Research (WCHR 2014)」において「アデランス サイエンス シンポジウム」を共催

株式会社アデランス(本社:東京都新宿区、代表取締役会長兼社長 根本 信男)は、2014年5月14日(水)から17日(土)、国際コンベンションセンター済州(韓国 済州島)において開催された第8回世界毛髪研究学会「World Congress for Hair Research (WCHR 2014)」で、アデランスがスポンサーシップをとる「アデランス サイエンス シンポジウム」を共催しました。

会期中の16日(金)、アデランス共催のシンポジウムが実施され、東京医科歯科大学難治疾患研究所 幹細胞医学分野の西村教授とアデランスの寄附に基づく講座である大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪再生医学の乾准教授が講演し、同じく世界的な毛髪皮膚医学の権威である、大阪大学の板見教授が座長を務めました。


世界毛髪研究学会は世界中の毛髪・皮膚分野の医師や研究者が一堂に会し、講演やポスターセッションによりその研究成果を発表する、毛髪研究の世界最先端の学会です。隔年開催で第8回を迎える今回は、「Wonder of Nature, Wonder of Hair」をテーマに、すばらしい自然景観を誇る韓国の済州島で開催され、およそ900人が集結しました。アデランスが海外の医学会で共催するのは初めてでしたが、約250人収容可能な講演会場は立ち見が出るほどの注目度でした。また、会期中には男性型脱毛症のシンポジウムにおいて、アデランスのメディカルアドバイザーを務める倉田医師がナローバンドLEDの毛髪成長に及ぼす影響についての講演をしました。

アデランスはトータルヘアソリューションにおけるリーディング企業の使命として、経営理念の一つである「最高の商品」の開発および毛髪関連業界の発展を目指し、機能性人工毛髪や医療向ウィッグの研究開発、育毛・ヘアスカルプケア関連研究、抗がん剤脱毛抑制研究など、産学連携にて毛髪関連の研究を積極的に取り組んでおります。
その産学共同研究の成果を国内外の学会を通じて発信し、また、世界の研究者に研究成果を発表いただくことは、毛髪界の更なる進展となり、ひいては多くの方の髪の悩みの解消に寄与し、当社のCSR(企業の社会的責任)であると考えております。

■ナローバンドLEDとは
ナローバンドLEDとは、「LEDの光をフィルターに通し、波長の幅を狭くした“極めて純粋な光”」です。この純粋なLED光が、毛母細胞の成長を促す因子に促進的に働き、その一方で、髪の成長を阻害する因子を抑制することが分かってきました。特に、635nm(ナノメートル)を中心波長とした非常に狭い帯域の赤い光は、皮膚の深い部分まで到達することが報告されています。髪の成長に大きくかかわる細胞は毛の根元にあたるため、光が深い部分に到達することは、髪の成長に有利に働くと考えられています。

■髪を成長させるカギは「LED」
家庭用照明やテレビ画面、美顔機器など、近年急速に脚光を浴びているLED。育毛分野への応用も長年にわたり研究が進められ、1990年代にNASAで行われた実験では、LEDの光の中でも特に赤色を使用すると植物の成長が促進されることが報告されています。
■アデランス サイエンス シンポジウム 講演概要
座長
大阪大学大学院医学系研究科 皮膚・毛髪再生医学寄付講座
教授 板見 智先生
演題1:毛包の老化と幹細胞制御
原題:Hair follicle aging and stem cell regulation
東京医科歯科大学 難治疾患研究所 幹細胞医学分野
教授 西村 栄美先生
多細胞生物は、加齢とともに組織の機能低下、再生能力の低下、器質的変化などの老化形質の発現を経て老化する運命にある。個体の寿命や早老症の発症に関わる分子やシグナルが次々と明らかにされているが、毛包を含む多くの上皮系組織が老化する仕組みの詳細は明らかにされていない。白髪、および脱毛は哺乳類において見られる典型的な老化形質である。我々は、マウスの毛包内に色素幹細胞をはじめて同定し、黒髪のもととなる毛母の色素細胞の供給源として働くこと、この細胞が維持できなくなると毛が生え変わる際に白毛化を引き起こすことを明らかにしてきた。色素幹細胞は、加齢によって自己複製せずに幹細胞ニッチ内において異所性に分化するようになること、その結果、幹細胞が枯渇し白髪になること、ゲノム毒性ストレスによりこの過程が促進されることを明らかにしている。ヒトにおいてもマウスの色素幹細胞に相当する細胞集団が存在し、加齢によって減少することを見いだしており、共通のメカニズムの存在が考えられる。一方、加齢に伴う脱毛(老人性脱毛症)は、哺乳類に共通して見られる毛包の老化形質の一つであるが、そのメカニズムはほとんど明らかにされていない。加齢に伴い、毛周期が次第に長くなり毛包幹細胞が活性化されにくくなることは明らかにされているが、実際に脱毛に至る仕組みは明らかではない。早老症候群のモデルマウスにおいても早発性の脱毛が見られるが、その幹細胞の運命解析から、毛包幹細胞が単に細胞老化(セネッセンス)や細胞死を起こしているのではないことを確認している。ヒトやマウスで加齢により毛髪の量のみならず毛包の数自体も減少するが、いったいどのような仕組みによりそのような変化が起こるのか、上皮組織の老化と幹細胞制御に着目し、その仕組みの一端を紹介した。

演題2:脱毛患者のQOLのウィッグの効果についてのエビデンス
原題:Evidence for wig effect on quality of life of hair loss patients
大阪大学大学院医学系研究科 皮膚・毛髪再生医学寄付講座
准教授 乾 重樹先生
脱毛症は生命を脅かす疾患ではないが、その整容的障害は患者の心理社会的状態に悪影響を及ぼす。ウィッグは生活の質(QOL)に好影響があることを期待され、脱毛症のカムフラージュに広く利用されている。本研究ではウィッグの影響を、福祉用具が及ぼす心理的QOLへの影響を評価する目的で作成された福祉用具心理評価スケール(PIADS)を用いて調査した。PIADSは0を不変として-3から+3までで評価される26の項目からなる。質問項目は次の3つ、すなわち、効力感(物事を行う能力、12項目)、積極的適応性(さまざまな仕事に適応する能力、6項目)、自尊感(自分の行いへの自信、8項目)に分類される。その結果、円形脱毛症、男性型脱毛症、女性型脱毛症の患者においてPIADSスコア合計はベースラインである0に比べて有意に増加しており(p<0。05、マンホイットニーU検定)、さらに、効力感、積極的適応性、自尊感の3因子も増加していた。さらに、PIADS合計、効力感、積極的適応性、自尊感のいずれもウィッグ装着時の見た目への満足度を評価したVASスケールと正に相関した(p<0。05、スピアマンの順位相関係数)。以上により、ウィッグは脱毛症患者のQOLを改善するというエビデンスに基づいた医療アイテムであり、その効果にはウィッグ装着時の見た目への満足度が重要であった。


■セミナー概要
セミナー名称:第8回世界毛髪研究学会「World Congress for Hair Research (WCHR 2014)」
会期:2014年5月14日(水)~5月17日(土)
会場:国際コンベンションセンター済州(韓国 済州島)
※アデランス共催のシンポジウム「アデランス サイエンス シンポジウム」は、5月16日(金)に開催しました。