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2014年3月18日

企業広報戦略研究所が上場企業の広報力調査の結果を発表

2014年3月18日

企業広報戦略研究所(C.S.I.)
(株式会社電通パブリック リレーションズ内)

企業広報戦略研究所が上場企業の広報力調査の結果を発表
広報力トップ3の業種は「電力・ガス」「金融・証券・保険」「食料品」

株式会社電通パブリックリレーションズ内に設立された企業広報戦略研究所(所長:三浦健太郎、所在地:東京都中央区)は、日本における企業の広報活動の実態や課題を探ることを目的に、本年1月から2月、上場企業3503社の広報担当責任者を対象に調査を実施し、回答を得た479社のデータをもとに「8つの広報力」の視点から独自指標で分析した結果をまとめました。

「8つの広報力」とは「情報収集力」「情報分析力」「戦略構築力」「情報創造力」「情報発信力」「関係構築力」「危機管理力」「広報組織力」で、企業広報戦略研究所の調査では、これらの領域で過不足なく活動することで、広報力が高いと評価される仕組みになっています。

今回調査対象とした上場企業には、パブリックカンパニーとしての透明性の高さが求められます。
的確な情報開示や説明責任、さらには、社会との対話といった広報活動を充実させていく力は、ブランドや株価など、企業価値に良い影響を与えると考えられます。
企業広報戦略研究所では、今回の調査などを通じて得た知見をもとに、学識者や団体・企業に情報提供をおこない、日本市場で活躍する企業の価値向上を支援していく予定です。

■日本広報学会理事長・淑徳大学経営学部教授 清水正道先生からのコメント
グローバル化の深化や情報・コミュニケーション技術の高度化は、企業の多様なコミュニケーション活動に大きなインパクトを与えつつあり、経営機能の一翼を担う広報・PR部門は、その社会的役割の拡大が期待されている。
今回発表された調査は、分析方法などにこれまでにない特徴を備えている。このため全体の傾向把握にとどまらず、広報・PR部門などが抱えている課題を把握し、コミュニケーション活動の見直しに役立てることができるだろう。
調査結果に一喜一憂するのではなく、分析結果から何が自社の課題なのかを読み解き、ぜひ新たな時代に向けたコミュニケーション革新への手がかりをつかんでいただきたい。

■「8つの広報力」算出方法について
本調査は、広報活動に関する設問(80項目)を8つの広報力に分類し、各広報力を構成する10項目の基礎点を各0.8点、当研究所の専門家パネル(研究者、メディア、広報実務家12名)の各メンバーが、戦略的重要性が特に高いと評価した3項目に0.125点/票を付与しました(広報力ごとに12.5点、総計100点)。各得点表とレーダーチャートでは、各広報力の得点を100点満点換算して示しています。
<8つの広報力>
◇情報収集力:自社や業界・競合に対するメディアの評判や、ステークホルダーの動静などについて収集・把握する能力
◇情報分析力:収集した情報に基づき、自社の経営課題・広報課題を洞察する力と、それを組織的に共有する能力
◇戦略構築力:経営課題に対応する広報戦略の構築と、ステークホルダー別の目標管理、見直しを組織的に実行する能力
◇情報創造力:ステークホルダーの認知・理解・共感を得るために、メディア特性に合わせたメッセージやビジュアルなどを開発する能力
◇情報発信力:マスメディアや自社メディア、ソーシャルメディアなどさまざまな情報発信手法を複合的にタイムリーに駆使する能力
◇関係構築力:重要なステークホルダーと、相互の理解・信頼関係を恒常的に高めるための活動と、実行する組織能力
◇危機管理力:自社をとりまくリスクの予測・予防や緊急事態に対応するスキルを維持・向上させるための組織能力
◇広報組織力:経営活動と広報活動を一体的に行うための意思決定の仕組み、会議体、システム整備などの水準

■全体傾向(添付PDF図表①参照)
全回答社の広報活動は、8つの広報力のうち、「情報発信力」の平均スコアが47.3点と目立って高く、「情報収集力」(37.0点)と「広報組織力」(31.7点)が続きます。企業の広報活動は、情報の収集と広報体制の整備を基本にしつつ、まずは情報の発信に注力する、と考えている企業が多いことがうかがえます。

平均スコアが相対的に低いのは、「情報創造力」(21.3点)、「関係構築力」(22.8点)、「危機管理力」(24.9点)、「情報分析力」(25.4点)の各領域でした。「情報収集力」に比べて「情報分析力」が低い点から、収集したデータ・情報を活かしきれていない企業が多いことが示唆されます。また、「情報創造力」、「関係構築力」、「危機管理力」といった近年重要性が高まっている新しい広報活動への対応に、現時点では多くの課題が残されているといえます。
  
■調査結果詳細
業種別ランキング(添付PDF図表②参照)
広報に関する総合評価が高い業種は、全16業種中、電力・ガス(44.6点)、金融・証券・保険(37.6点)、食料品(36.9点)の順でした。1位の電力・ガスと、最下位の不動産(20.1点)では、総合評価で倍以上の開きがありました。これは、近年、不祥事や事故により常に生活者の厳しい視線の下にある業種が、広報活動に注力した結果が表れたのが一因と思われます。



※本調査における業種について
「食料品」、「建設」、「繊維・化学・医薬」、「鉄鋼・非鉄金属」、「機械」、「電気機器」、「輸送用機器・精密機器」、「その他製品(ガラス・土石・ゴム 等)」、「卸売・小売」、「金融・証券・保険」、「運輸・倉庫」、「電力・ガス」、「情報・通信」、「不動産」、「サービス業」、「その他」 の全16業種の中から、調査時に回答社が選択

業種別傾向~上位3業種と下位3業種~
業界別総合評価TOP3
<1位:電力・ガス>(添付PDF図表③参照)
おおむね全体平均を上回っており、特に「情報発信力」(61.5点)や「収集力」(60.3点)に強みを持っています。「収集力」の中でも、とりわけ「記者の考え方や意見を独自人脈・ルートで把握する」活動は今回ご回答いただいたすべての電力・ガス業界の企業が実施しており、「自社に影響を及ぼす法規制や行政の動向についての把握」も80.0点と全体平均(45.5点)よりかなり高い得点を示し、単なるメディアのモニターなどの情報収集にとどまらず、幅広い情報収集を行っていることがわかりました。一方で、「戦略構築力」(22.6点)は全体平均(26.2点)を下回っており、経営戦略にリンクした広報戦略の策定や、ステークホルダー別の戦略設定などが課題と言えます。
  
<2位:金融・証券・保険>(添付PDF図表④参照)
すべての項目で全体平均を上回っており、特に「危機管理力」(39.7点)と「広報組織力」(44.1点)に強みを持っています。「危機管理力」では、危機管理マニュアルの整備、緊急連絡網の整備、業界・競合企業のリスク事案の把握・研究などの点で、他の業界より高い得点を示しています。「組織力」では、広報の専門部門があり、宣伝部門と連携して取り組んでいるのが特徴です。「情報発信力」は全体平均を上回っているものの他の項目より低めで、中でも、有識者が重視する広報活動として挙げていた「トップは定期的にメディアの取材を受けている」は全体平均(44.1点)より低い(39.1点)結果でした。

<3位:食料品>(添付PDF図表⑤参照)
「情報発信力」や「収集力」に優れる企業が多い半面、「分析力」にやや課題を抱えた企業が多く見られます。広報活動の全領域で全体平均をわずかに上回っていますが、全体平均と類似した傾向です。「収集力」では、特に自社に関する報道のモニタリング、業界・競合企業の動向のチェックなどで高得点ですが、「分析力」では、自社発のニュースリリースの掲載量の把握やソーシャルメディア上の自社の書き込み等の分析、社会動向の予測などが未着手の企業が多く、収集した情報を詳細に分析したうえで次の発信に結び付ける、というプロセスがやや欠けている状況がうかがえます。

  業界別総合評価BOTTOM3
<14位:サービス業>(添付PDF図表⑥参照)
全領域で全体平均を下回っています。特に、「危機管理力」(17.6点)が全体平均(24.9点)より低い傾向で、中でも「BCPの整備・運用に広報部門も関与」は18.2点、「広報対応について具体的に記載された危機管理マニュアルの整備」は16.7点で、全体平均(それぞれ25.7点、31.1点)を下回っています。不測の事態に備え、対応できる危機管理体制の構築が、今後の課題と言えそうです。

<15位:建設> (添付PDF図表⑦参照)
傾向的には全体平均とよく似ていますが、全領域で平均値を下回っています。特に「情報発信力」、「戦略構築力」、「情報収集力」は全体平均から10ポイント程度低く、情報の収集と発信という比較的広報の基本業務と思われることが消極的で、その結果業種別順位が低くなりました。「関係構築力」の「顧客や地域住民と直接交流する機会の設定」は平均的な点数ですが、「情報発信力」の、自社WEBメディアの運用やソーシャルメディアを活用した情報発信、自社ウェブサイトの更新など、デジタル関連の施策が平均をそれぞれ20ポイント程度下回っており、業界の中ではあまり重視されていない状況がうかがえます。

<16位:不動産>(添付PDF図表⑧参照)
全領域で全体平均を下回っています。とりわけ、「危機管理力」が10.1点というのが特徴的です。「危機管理力」を聞いた10の項目のうち4つの項目が0点で、危機管理対応に関する広報活動は未着手という結果でした。リスクファクターが他業種より少なめであることの表れかもしれませんが、今後は、自社の事業領域に影響の高いリスクを洗い出して、危機管理マニュアルを整備したりメディアトレーニングしたりすることが課題と考えられます。

■調査概要
調査期間:2014年1月6日(月)~2月10日(月)
調査対象:『会社四季報 2013年秋』掲載時点の東証一部・二部、東証マザーズ、ジャスダック、札証、名証、福証に株式上場している企業( 3503社)
有効回答サンプル数:479件(回収率 13.7%)
調査方法:郵送・訪問留置調査
調査主体:企業広報戦略研究所(株式会社電通パブリック リレーションズ内)

<お願い>
本調査内容を転載・引用する場合、転載者・引用者の責任で行うとともに、弊社の調査結果である旨を明示してください。

<企業広報戦略研究所について>
企業広報戦略研究所(Corporate communication Strategic studies Institute : 略称C.S.I.)とは、企業経営や広報の専門家(大学教授・研究者など)と連携して、企業の広報戦略・体制等について調査・分析・研究を行う電通パブリックリレーションズ内の研究組織です(2013年12月設立。所長:三浦健太郎)。

<株式会社電通パブリックリレーションズについて>
電通PRは、1961年の創立以来、クライアントとステークホルダーの良好な関係を生み出す戦略パートナーとして、国内外の企業・政府・団体のコミュニケーションをサポートしてきました。ソーシャルメディア、デジタル・マーケティングなどで高い専門性を備えたコンサルタントを含む、総勢228名の社員が、マーケティング・コミュニケーションおよびコーポレート・コミュニケーションの領域で、戦略提案から専門的なソリューションまで、フルラインでご提供いたします。
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