2013年9月1日

抗凝固剤「エドキサバン」に関する第3相臨床試験(Hokusai-VTE試験)結果について

2013年9月1日

会社名第一三共株式会社
代表者代表取締役社長 中山 讓治 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 執行役員コーポレートコミュニケーション部長 石田 憲昭
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

抗凝固剤「エドキサバン」に関する第3相臨床試験(Hokusai-VTE試験)結果について

 第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、当社が創製した抗凝固剤(経口FXa阻害剤)エドキサバン(一般名: エドキサバントシル酸塩水和物)の深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症(PE)患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の治療および再発抑制に関する第3相臨床試験(Hokusai-VTE試験)において、エドキサバンは、1日1回経口投与によりワルファリンに対して有効性で非劣性、安全性において優越性を示し、所期の目的を達成いたしましたので、その概要をお知らせします。なお、本試験の結果につきましては、オランダ・アムステルダムで開催中の欧州心臓病学会2013において発表されると共に、New England Journal of Medicineにオンライン掲載されました。

 本試験では、DVTまたはPEの患者8,240人がエドキサバン(4,118人)またはワルファリン(4,122人)を投与されました。有効性の主要評価項目であるVTEの発現率は、エドキサバン群で3.2%、ワルファリン群で3.5%であり、エドキサバンのワルファリンに対する非劣性が検証されました(HR 0.89、95% CI 0.70-1.13;P<0.001 [非劣性])。また、安全性に関して、臨床的に重要な出血の発現率は、エドキサバン群で8.5%、ワルファリン群で10.3%であり、エドキサバンのワルファリンに対する優越性が示されました(HR 0.81、95% CI 0.71-0.94; P=0.004[優越性])。

 本試験では1日1回60 mgのエドキサバンが投与されましたが、腎機能障害のある患者、低体重の患者、および、p-糖タンパク質阻害剤を併用している患者には、30 mg、1日1回が投与されました。エドキサバン30 mg投与によるVTEの発現率は、エドキサバン群で3.0%、ワルファリン群で4.2%であり(HR 0.73、95% CI 0.42-1.26)、エドキサバン60 mg投与患者を含む全体で解析した結果と同様でした。また、臨床的に重要な出血の発現率は、エドキサバン群で7.9%、ワルファリン群で12.8%であり、ワルファリン群に対しエドキサバン群で有意に低値でした(HR 0.62、95% CI 0.44-0.86)。

 DVT患者におけるVTEの発現率は、エドキサバン群3.4%、ワルファリン群3.3%でした(HR 1.02、95% CI 0.75-1.38)。一方、PE患者におけるVTEの発現率は、エドキサバン群2.8%、ワルファリン群3.9%でした (HR 0.73、95% CI 0.50-1.06)。さらに、重症PE患者におけるVTEの発現率は、エドキサバン群で3.3%、ワルファリン群で6.2%であり、エドキサバンはワルファリンと比較し重症PE患者におけるVTEの再発リスクを48%低減させました (HR 0.52、95% CI 0.28-0.98)。

 アムステルダム・アカデミックメディカルセンター内科教授であり、Hokusai-VTE試験の運営委員会の議長であるHarry Buller博士は、「Hokusai-VTE試験は、重症PE患者を含む広範囲のVTE患者が登録されるようにデザインされた試験です。我々は、本試験においてエドキサバンが、ワルファリンと比較して出血リスクが統計学的に有意に低いにもかかわらず、ワルファリンと同等のVTEの再発抑制効果が示されたことに満足しております。さらにサブグループ解析の結果、エドキサバンが重症PE患者におけるVTEの再発リスクを大幅に低下させる有望な結果が得られました。」と述べています。

 当社グローバル研究開発責任者の専務執行役員グレン ゴームリーは、「Hokusai-VTE試験の結果から、広範囲のVTE患者へエドキサバン1日1回投与という新たな治療の選択肢をお届けできる可能性が広がり、喜ばしく思います。本試験の結果に基づき、日・米・欧において2013年度中に承認申請する予定です。また、心房細動に伴う血栓塞栓症の予防の適応症取得を目的としたENGAGE AF-TIMI 48の試験結果について、11月の米国心臓協会学術集会2013において発表する予定です。」と述べています。

 なお、ENGAGE AF-TIMI 48についてもすでに試験を終了し、2013年度中の承認申請にむけ準備を進めております。また、日本においては、下肢整形外科手術(膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術)施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制の適応で2011年7月より、「リクシアナ(R)錠」(製品名)として販売しております。

以 上

Hokusai-VTE試験について
 Hokusai-VTE試験は、国際共同、無作為化、二重盲検、第3相臨床試験であり、急性症候性の深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)患者、または、肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)患者における症候性静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)の治療および再発抑制に関するエドキサバンを1日1回経口投与したときの有効性と安全性を評価する臨床試験であり、37ヶ国の439の医療機関から8,292人の患者が登録されました。
 患者は2群に割り付けられ、最低5日間のエノキサパリンまたは未分画ヘパリンの初期治療に続き、二重盲検下で、エドキサバン(4,118人)、または、ワルファリン(4,122人)が、3~12ヶ月間投与されました。投与期間については、患者の病状や患者背景に基づいて治験責任医師が決定しました。本試験では1日1回60 mgのエドキサバンが投与されましたが、腎機能障害患者、低体重患者、または、一部のp-糖タンパク質阻害剤を併用している患者(エドキサバン群は733人、ワルファリン群は719人)についてはエドキサバン30 mg、もしくは、そのプラセボが投与されました。なお、本試験におけるDVT患者は4,921人、PE患者は3,319人、このうち重症PE患者(NT pro-BNP値が、500 pg/mL以上の右室機能障害のあるPE患者)は938人でした。
 本試験では、投与期間の長さにかかわらず12ヶ月間の観察期間における解析を実施しました。
 有効性の主要評価項目は、12ヶ月間におけるVTEの再発です。安全性の主な評価項目は、投与期間中および投与終了後3日以内に発現した臨床的に重要な出血(重大な出血、もしくは重大ではないが臨床的に重要な出血)です。  

静脈血栓塞栓症(VTE)について
 VTEは、DVTとPEの総称です。DVTは、足、骨盤、腕などの深部静脈に血栓が形成される疾患です。PEは、深部静脈で形成された血栓の一部が遊離して肺に流れ、肺動脈を閉塞し、致死的状況をもたらす疾病です。